SHARING WITH LOCALS

THE SHARE HOTELS

TALKING WITH
LOCALS

ムラカミジン

-

  • HIROSHIMA

コーヒースタンドから、地元の“いま”が届く旅の岐路

KIRO 広島の1階にあるコーヒースタンドや、THE POOLSIDEで不定期開催している「プールビラキ」の企画を担当していたムラカミジンさん。今回は、バリスタが日替わりでドリンクを提供するコーヒースタンドに込めた思いと、広島でのおすすめの過ごし方について、広島出身のムラカミさんに話を聞きました。

ローカルな“まちの声”が集まるコーヒースタンド

──広島生まれのムラカミさんから見て、KIRO 広島があるのはどんなエリアですか。

広島の中心エリアですね。広島の中心地は、駅から少し離れているんです。最近は郊外に面白い店がオープンしていますが、遊び方としてはKIRO 広島の周辺に集まることが多いです。

KIRO 広島は、以前は病院でした。仲間と3階のサンルームを見上げて「あそこは何だろう?」と話していたんです。KIRO 広島ができてTHE POOLSIDEを見たときに、すごくきれいだと思いました。リノベーションという考え方は、ここまでデザインに昇華できるんですね。KIRO 広島は「私ならこうしたい。やってみよう」という思いが浮かびやすい、優しい余白があると思いました。

──その場所でムラカミさんは『cicane -liquid stand-(※)』を作りました。どんなふうに始まったのですか? 

当時、アパレル店内にインショップでカフェを取り込むのがベーシックになりつつあったのと、いろんな地域で「間借り」という現象が起きていました。そして、僕の周りにはスタートアップをやりたい人や、店舗運営が忙しくて本当にやりたいことができないという悩みを持つ人たちが集まっていた。ホテルの1階にインショップでドリンクを飲める場所があると便利だし、雰囲気を和らげる役割を担えると考えたんです。

※現在「cicane」は運営者及び店舗名称を変更して営業しています。

──結果として、広島各地のバリスタが日替わりでドリンクを出すというユニークな運営になりましたね。

僕は出張が多いのですが、出張先で「良いな」と感じるのは、まちの人のローカルな情報を聞いた時なんです。今はキーワード検索ができる時代で、観光名所とそれに付随した情報はスマートフォンから入ってきます。そういう情報ではなくて、「A店のBさんが面白い。お願いすれば裏メニューが出てくる」といった情報はとても有益だと思います。

ホテル内に、まちの面白い情報と自然に出会える環境があれば嬉しいですよね。そして、まちをガイドできる情報を持っているのは、普段からまちを動き回っているフリーランスや店を構えている人たちです。そういう人たちがコンシェルジュのような役割を担い、かつ多種多様な情報を提供するために、広島のバリスタが日替わりでお店に立つという仕組みで、地元の人も出入りしやすい環境を作りました。

「選ぶ楽しさ」が、場を豊かにする

──ムラカミさんの仕事からは、「選ぶ楽しみを知ってほしい」という思いが伝わってきます。

ホテルのカフェで言えば、ホテル内に人を集めるのもいいけれど、ホテルで過ごした時間を体験として提供しつつ、宿泊者がまちに出て広島を知るきっかけを作るほうが総体として強いと思うんです。KIRO 広島の周りには、行ってほしい店がたくさんありますから。それに、コーヒーショップって「美味しい」「有名」などコーヒーを飲む目的でしか行かないです。でも、ショップ側はコーヒーにまつわるものごとを盛り上げたいと思っている。目的が違うからってコミュニティを閉じていると、余所者を排除してしまって、盛り上げたいのに言葉が通じなくなっていくんです。なるべく「コーヒーを飲みに来ている」という感覚を薄くして、コーヒーの入口を変えていければいいなと思います。

僕はいろんなものごとに興味があるから、周りの人にもその面白さを知ってもらいたいんです。でも、「これが正解」と決めつけたくはない。「あとは自分で選んで」というライトな出口を意識しています。ホテルのカフェなら、「なんかオープンな感じだなあ」と、そんな『場所』でいいかなと思っています。


ムラカミジンさの広島のお気に入り

原爆ドームの対岸にあるベンチ

平和記念公園のあるエリアは、原爆が落ちる前までまち一番の繁華街だったそうです。そして、原爆ドームはオーストリアの建築家が設計した曲線の多さが特徴の建物です。こんな事実を知ったうえで対岸から原爆ドームを見ると「ああ、今は平和なんだな」と思う。負の遺産が感じられない場所はいいなと感じます。

川沿いを散歩する

広島は川が多くて、川でまちが繋がる地形です。観光地をポイントで巡るのも良いですが、広島では川沿いを散歩しながら観光地のあいだにある景色を見て、小さな発見をしてみてほしいです。

『亀屋』の川通り餅

求肥にくるみが入っていて、きな粉をまぶしたお菓子です。広島といえばもみじ饅頭で、川通り餅は県外では意外と知られていません。おまんじゅうって形状を変えながら全国にありますが、川通り餅はマニアックで知らない人も多いので、お土産に喜ばれると思います。


ムラカミジン

-

1978年、広島生まれ。株式会社ローカルズオンリー所属。広島でセレクトショップ・飲食店を運営しつつ、『パンタスティック!!』『あさまち』『LIQUIDPOOL』といったイベント企画・ブランディングを担当。KIRO 広島では、1階の『cicane -liquid stand-』を中心に、ホテル館内のイベント企画にも関わっている。

MORE
INFORMATION

その他の情報